筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
「心配しなくとも私はブレイズ様一筋ですから」
「ローズ……なんて可愛らしい事を」

 そうして振り返ったブレイズ様は私の体を抱き上げて。彫りの深い精悍な顔が私にゆっくりと近づき、唇が交わる。
 わぁ……ッ!! と周囲から歓声が沸いた。

「んッ、ぶれぃ……、さ」
「喋らなくていい。ローズが俺を好きだと言うのなら、それを実感させてくれ」

 そう言われて断れる訳がない。
 それでも初めて交わす口付けが皆の前で、なんて恥ずかしすぎる。しかも何度も角度を変えて、深く与えられるソレに私は……白旗をあげた。

「も……ぅ、むりです……ッ!」

 涙目で降参した私を、ブレイズ様は大変満足げに眺めた。
 
「この程度で降参する程初心なのであれば、しばらくは『抱いてほしい』なんて言うのは禁止だな」
「はい、ごめんなさい……好き」

 完全に自分達の世界を作り上げている私達の横で、観衆の歓声をバックに家令のサイモン様だけが深く溜息をついていた。
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