筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
「彼が、夜中にローズ様と逢引予定で泉に行ったのだと言い出したんです」
「は?」
予想外の会話に、つい冊子を落としそうになってしまう。
「……え? もしかして私がその兵に酷い事をした犯人だと疑われているの?」
「いいえ。そうでは無く、逢引きの噂がブレイズ様の気に触るのではないかと心配に」
確かに相手が兵士となれば、私の筋肉フェチも相まって本当に逢引きだと勘違いされるかもしれない。
(どうしよう……私、浮気なんてしていないのに!)
両頬に手を当てて動揺してしまう私を見て、その魔術師は「だ、大丈夫ですよ! ブレイズ様に知られる前に問題解決してしまいましょう」などと必死に励ましてくれる。
「そうね……ブレイズ様には知られたく無いから黙っていてくれる?」
そうお願いした瞬間だった。
「俺がどうかしたか」
「――キャッ!?」
まるで潤滑油が切れた機械のような動きで、私が座っている椅子の斜め後ろを確認すると。ちゃんと上下共に衣服を纏ったブレイズ様が立っていた。助けを求めるように魔術師の方に視線を動かすが。……スッと目線を逸らされてしまう。
(う、裏切り者ーッ!!)
そう思ったが、彼は「黙っていてくれる?」という問にはまだ答えていないし、そもそも何も言わずに黙っているのだから裏切ってはいない。
「は?」
予想外の会話に、つい冊子を落としそうになってしまう。
「……え? もしかして私がその兵に酷い事をした犯人だと疑われているの?」
「いいえ。そうでは無く、逢引きの噂がブレイズ様の気に触るのではないかと心配に」
確かに相手が兵士となれば、私の筋肉フェチも相まって本当に逢引きだと勘違いされるかもしれない。
(どうしよう……私、浮気なんてしていないのに!)
両頬に手を当てて動揺してしまう私を見て、その魔術師は「だ、大丈夫ですよ! ブレイズ様に知られる前に問題解決してしまいましょう」などと必死に励ましてくれる。
「そうね……ブレイズ様には知られたく無いから黙っていてくれる?」
そうお願いした瞬間だった。
「俺がどうかしたか」
「――キャッ!?」
まるで潤滑油が切れた機械のような動きで、私が座っている椅子の斜め後ろを確認すると。ちゃんと上下共に衣服を纏ったブレイズ様が立っていた。助けを求めるように魔術師の方に視線を動かすが。……スッと目線を逸らされてしまう。
(う、裏切り者ーッ!!)
そう思ったが、彼は「黙っていてくれる?」という問にはまだ答えていないし、そもそも何も言わずに黙っているのだから裏切ってはいない。