筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
「ローズは昔から全く変わらないな。優しくて他人の気持ちを慮り、同じ目線で考えてくれる」
「そういえば……ブレイズ様と私って、治癒院で遭った事ありますか? 戦場を駆るゴリラの話も聞いた事がないし」

 戦地でのブレイズ様を頑張って思い出そうとしてみたのだが。健康管理している兵士や騎士達には筋肉の形に見覚えがある者が居たが、こんなに好みの体つきをしているブレイズ様は全く覚えがないのである。
 筋肉フェチすぎて醜男フェチと揶揄われた私が、こんな素敵な体を忘れる訳がない。しかしブレイズ様は明らかに昔から私の事を知っている。
 しかも戦場にゴリラなんていれば絶対に噂になったはずだ。

 私が何を聞きたいのか理解したらしいブレイズ様は気まずそうに視線を外した後。「ローズが初めて治癒院に来た日に偶然見かけて。一目惚れした」と白状した。

「ちなみに戦場ではゴリラになった事は無い。俺は騎士だぞ? 馬上でゴリラになれば、馬が潰れるだろう」

 確かに。実に納得のいく回答だった。ならばブレイズ様は実質魔法を一切使わずに戦果をあげた事になる。それはそれで凄い。
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