筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
 そのまま黙ってブレイズ様の執務室を後にした私は、早速部屋に戻ってブレイズ様の名前で参加者登録の手紙を書いた。

「だって私、ブレイズ様になら抱かれたいもの」

「抱かれたいと言うのは禁止」と言われているから言わないだけ。私はブレイズ様の筋肉はもちろんのこと、大柄な体格や精悍な顔付き。意外と真面目な所や、ギャグのように突拍子もない事をする所まで。……全て、心から愛している。筋肉から始まった愛だけど、内面だって愛しているの。

 最近では毎晩キスするのにも慣れてきたし、舌を絡められたって……
 
「やっぱりそういうのを思い出すと、ちょっと……恥ずかしいかも」

 それでも、脱がねば見えぬ筋肉もある。

 書き上がった手紙を手にして考えて、考え込んで……私はそれを封筒ごと真っ二つに裂いた。

「――やめた。ブレイズ様の素敵な筋肉は私だけが知っていれば良いもの」

 抱く抱かないは横に置いておくとして、私の宝物をわざわざ皆に見せてあげる必要は無い。そう結論づけて私は裂いた手紙をゴミ箱に投げ捨てた。
< 38 / 53 >

この作品をシェア

pagetop