筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
「泣いていないで『私の回復をしろ』。全く……全力で殴りやがって」
レオン様が私に命令すると、私の意に反する形で勝手に体が動く。レオン様のすぐ側まで歩み寄って、その体に手を翳して回復魔法を使う。……私はこの先ずっとこうやって、レオン様の命令通りに動き続けるのか。
「……レオン様、せめて最後にブレイズ様にお別れの言葉を伝えたいのですが、叶えてくださいませんか?」
逆らえないのなら、前を向いて進むだけ。
聖女扱いされて、王宮に招かれて、レオン様の婚約者になって、戦地で駆け回る。そして婚約破棄も受け入れて……今までずっとそうやって、逆らえないからと無理やり前を向いて進んできたけど。
ブレイズ様のことだけは諦めきれなかった。せめて……最後に、もう一度だけ。
「何故私がお前の願いなんぞ叶えなければならないのだ……と思ったが。ローズ『私へ防御魔法』」
あまり得意ではない防御魔法もレオン様が命令すればその通り体が動き、魔法を掛ける。その瞬間、私達の後方から――ドーンッ!! という地響きが響いた。
「ローズ良かったな? どうやら願いが叶いそうだぞ」
「……え?」
何が起こったのかと振り返ると――
「――私のローズを返してもらおうか」
そこに立っていたのは、その肩にまるで荷物のように緑色の髪の女性を担いだ……ゴリラだった。
レオン様が私に命令すると、私の意に反する形で勝手に体が動く。レオン様のすぐ側まで歩み寄って、その体に手を翳して回復魔法を使う。……私はこの先ずっとこうやって、レオン様の命令通りに動き続けるのか。
「……レオン様、せめて最後にブレイズ様にお別れの言葉を伝えたいのですが、叶えてくださいませんか?」
逆らえないのなら、前を向いて進むだけ。
聖女扱いされて、王宮に招かれて、レオン様の婚約者になって、戦地で駆け回る。そして婚約破棄も受け入れて……今までずっとそうやって、逆らえないからと無理やり前を向いて進んできたけど。
ブレイズ様のことだけは諦めきれなかった。せめて……最後に、もう一度だけ。
「何故私がお前の願いなんぞ叶えなければならないのだ……と思ったが。ローズ『私へ防御魔法』」
あまり得意ではない防御魔法もレオン様が命令すればその通り体が動き、魔法を掛ける。その瞬間、私達の後方から――ドーンッ!! という地響きが響いた。
「ローズ良かったな? どうやら願いが叶いそうだぞ」
「……え?」
何が起こったのかと振り返ると――
「――私のローズを返してもらおうか」
そこに立っていたのは、その肩にまるで荷物のように緑色の髪の女性を担いだ……ゴリラだった。