筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
「だから、どうかそんな悲しい事は仰らずに、私を名実共に妻にしてくださいませんか」
そしてその筋肉を余す所なく見せて欲しい。そんな欲望は心の中に隠し、必死にお願いする。
「……まさか醜男フェチの噂が本当だったなんて」
ブレイズ様はそう小さく呟き少し考え込んだ後。さり気なく指を動かして筋肉の筋を堪能していた私の手を、引っ掴んで離した。
「――分かった! すまない、白き結婚の話は撤回させてくれ。そして自己紹介からやり直そう」
ブレイズ様はそう言うと、床に膝をついたままではあるが姿勢を正し、改めて私と向き合う。
「俺の名はブレイズ・ウィルドハート。このウィルドハート辺境伯領を治める領主で、今年30歳になる。国王より、先の戦の褒賞に何が欲しいかと問われて……ローズが欲しいと、傲慢な願いを口にしてしまった醜い男だ」
「私はローズと申します。この前20歳になったばかりで……ブレイズ様は、本当にただの平民でしかない私を妻にと、望んでくださったのですか?」
「『ただの』だと? よく言えたものだな。王子の婚約者でありながら、誰に対しても嫌な顔一つせず笑顔で魔法を掛ける『赤薔薇の聖女』は、最前線で体を張って戦う俺達近接職にとっては最高の癒しで憧れで! 崇拝し全力で守る対象だった。それを『ただの』とは言わないで欲しい」
ブレイズ様から放たれるオーラが急にブラックになった上、早口で語り出したので「す、すみません……」と小声になりながらも謝る。その笑顔は、筋肉に囲まれて幸せだったからこその笑顔なんですけどね……?
そしてその筋肉を余す所なく見せて欲しい。そんな欲望は心の中に隠し、必死にお願いする。
「……まさか醜男フェチの噂が本当だったなんて」
ブレイズ様はそう小さく呟き少し考え込んだ後。さり気なく指を動かして筋肉の筋を堪能していた私の手を、引っ掴んで離した。
「――分かった! すまない、白き結婚の話は撤回させてくれ。そして自己紹介からやり直そう」
ブレイズ様はそう言うと、床に膝をついたままではあるが姿勢を正し、改めて私と向き合う。
「俺の名はブレイズ・ウィルドハート。このウィルドハート辺境伯領を治める領主で、今年30歳になる。国王より、先の戦の褒賞に何が欲しいかと問われて……ローズが欲しいと、傲慢な願いを口にしてしまった醜い男だ」
「私はローズと申します。この前20歳になったばかりで……ブレイズ様は、本当にただの平民でしかない私を妻にと、望んでくださったのですか?」
「『ただの』だと? よく言えたものだな。王子の婚約者でありながら、誰に対しても嫌な顔一つせず笑顔で魔法を掛ける『赤薔薇の聖女』は、最前線で体を張って戦う俺達近接職にとっては最高の癒しで憧れで! 崇拝し全力で守る対象だった。それを『ただの』とは言わないで欲しい」
ブレイズ様から放たれるオーラが急にブラックになった上、早口で語り出したので「す、すみません……」と小声になりながらも謝る。その笑顔は、筋肉に囲まれて幸せだったからこその笑顔なんですけどね……?