筋肉フェチ聖女はゴリラ辺境伯と幸せを掴む
「皆で不可侵条約を結び、誰も抜け掛けしないよう毎日相互牽制。そうやって俺は厳しい戦場で五年間も体を張ってきたのに。戦が終わればその姿を見る事すら叶わない。それに耐えかねて褒賞で望めば、あっさりと手に入るなんて……!」
ブレイズ様の黒い瞳が、ソファーに座っている私の頭の頂から足の爪先までを、などるように確認して。「夢で無いかを確認させてくれ」と言いつつ、自分の右頬にビンタを食らわせる。パーッン! と良い音が鳴り響いた。
「う……わぁ、大丈夫ですか?」
腫れ上がる頬と、切れて血が垂れる唇。その威力に若干引いたが、いつもの癖ですぐさま回復魔法を掛け始める。すると、そのビンタを喰らわせた大きな右手が、私の頬を包んだ。
「夢じゃない……こんな醜男の元に、あれ程焦がれた赤薔薇の聖女がいるなんて。しかし俺のせいで王子との婚約が無くなってしまったローズには本当に申し訳なかったと思っていて。だからこそ白き結婚にしようと……三年で解放してあげようと思ったのだが」
「レオン様は、メルエー王国のお姫様と結婚するから私と婚約破棄したのですよ。むしろ私は捨てられた所を運よく拾っていただけて感謝しています」
ブレイズ様の黒い瞳が、ソファーに座っている私の頭の頂から足の爪先までを、などるように確認して。「夢で無いかを確認させてくれ」と言いつつ、自分の右頬にビンタを食らわせる。パーッン! と良い音が鳴り響いた。
「う……わぁ、大丈夫ですか?」
腫れ上がる頬と、切れて血が垂れる唇。その威力に若干引いたが、いつもの癖ですぐさま回復魔法を掛け始める。すると、そのビンタを喰らわせた大きな右手が、私の頬を包んだ。
「夢じゃない……こんな醜男の元に、あれ程焦がれた赤薔薇の聖女がいるなんて。しかし俺のせいで王子との婚約が無くなってしまったローズには本当に申し訳なかったと思っていて。だからこそ白き結婚にしようと……三年で解放してあげようと思ったのだが」
「レオン様は、メルエー王国のお姫様と結婚するから私と婚約破棄したのですよ。むしろ私は捨てられた所を運よく拾っていただけて感謝しています」