となりの初恋



「それ、もう恋だよ。好きになっちゃってんの」


今日も透から紙パックのジュースを受け取る。
ピンク色じゃなくて黄色。


「透、俺バナナオレ嫌いなんだけど」

「そんなの知らない。イチゴミルク売り切れてたの」


いつも通り、屋上で過ごす休み時間。
透が買ってきてくれたバナナオレはあんまり美味しくなかった。


それでもバナナオレを飲みながら透の話に耳を傾ける。
昨日あったことを自慢するように話して、「これって嫉妬だと思う?」と聞いたら一番最初の台詞が返ってきたというわけである。


「俺嫉妬かどうか聞いてんだけど」

「一回それは置いといて。俺が知りたいのは海斗の気持ち」


いや置いとくなよ。
心の中でツッコミを入れながら、飲み終わったバナナオレを地面に置いた。


「俺の気持ちって、別になんとも思ってないし」

「嘘でしょそれ。海斗嘘つくとき髪触る癖あるし」
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