となりの初恋
*
「櫻井くん」
すべての授業が終わり、少しずつ人気が少なくなってきた頃。
俺が帰りの支度をしていると、隣の高橋さんに声をかけられた。
「ん、どうした?」
「日直の仕事。私全部やっておくから、先帰って」
「え?いいよ、俺もやるよ」
俺がそう言っても高橋さんは首を横に振る。
今までは日直の仕事なんてやってこなかったけど、高橋さんと一緒ならやろうかと思える。
「……いいの?櫻井くん、いつもやってなかったじゃん」
「いいよ。何すれば良い?」
「じゃあさ」
教室の窓をしめて、廊下の窓もしめようと廊下に出た。
廊下の窓をしめていると数人の女子に声をかけられた。
「あれ、海斗くん?もしかして日直の仕事?」
「うん、そう」
「えー、海斗くんが仕事なんて珍しい。相手誰?」
女子は教室をのぞき込み、中にいるのが高橋さんだと気づいた途端に顔をしかめた。