となりの初恋




「櫻井くん」


すべての授業が終わり、少しずつ人気(ひとけ)が少なくなってきた頃。
俺が帰りの支度をしていると、隣の高橋さんに声をかけられた。


「ん、どうした?」

「日直の仕事。私全部やっておくから、先帰って」

「え?いいよ、俺もやるよ」


俺がそう言っても高橋さんは首を横に振る。
今までは日直の仕事なんてやってこなかったけど、高橋さんと一緒ならやろうかと思える。


「……いいの?櫻井くん、いつもやってなかったじゃん」

「いいよ。何すれば良い?」

「じゃあさ」


教室の窓をしめて、廊下の窓もしめようと廊下に出た。
廊下の窓をしめていると数人の女子に声をかけられた。


「あれ、海斗くん?もしかして日直の仕事?」

「うん、そう」

「えー、海斗くんが仕事なんて珍しい。相手誰?」


女子は教室をのぞき込み、中にいるのが高橋さんだと気づいた途端に顔をしかめた。
< 25 / 82 >

この作品をシェア

pagetop