となりの初恋
「好きな人がいたんだ。すっごく。でも、その人は誰のことも好きにならなかった」


言葉ではかっこよく聞こえるかもだけど、実際そんなことない。
まぶしすぎる位の金髪に、わたしより二十センチくらい高い身長。


すっごくすっごく綺麗な顔をしていて、もうそれは女の子なんじゃないかと疑いたくなるほど。


でもその顔から出される声は低くて、男らしくて、そんなギャップみたいなものに惚れたんだっけ。


名前を呼んだら振り向いてくれて、優しくしてくれて。
そんなことだけで勘違いして、告白までして。


「ばかだよなぁ、うち」


彼はきっと、遊んでいるだけ。
そう心のどこかでは気づいていたのに、わたしは全く気づかないふりをしていた。


そういう噂だって絶えなかったし、わたしの他にも彼を好きな人は沢山いた。


なのに、わたしが一番になれるんじゃないかって思い込んで。


「ばかなんかじゃ、ないです」
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