となりの初恋
*
「沙耶ちゃーん」
火曜日の放課後は、図書室に向かう。
図書委員会の仕事がある沙耶ちゃんと話すため。
あの日のあとわたし達は仲良くなって、お互いを名前で呼び合うようになった。
ずっと石川さん、って呼ばれていたから、なんだかむず痒いけど。
「花菜ちゃん、ちょっと待ってもらえる。やることあって」
「いいよ-。あ、うちも手伝おうか?」
「出来たらお願いしたい、いいかな?」
「もっちろん!」
今日は本が全部あるかの確認をするらしい。
流石に一日で全部を確認するのは大変だから、曜日ごとにここからここまでって決められているみたい。
その決められた分をさらに二人で分担して、リストを見ながら確認していく。
ない本があればチェックをつけて、場所が違ければ元に戻す。
こういった作業はどちらかと言えば好きだから、分担した量は難なく終わった。
「沙耶ちゃん、こっち終わったよ。そっちは?」