となりの初恋
「あの二人、どう思う?」

「え?」


わたしの隣に透くんが腰を下ろしながら聞いてくる。
あまりの距離の近さに、話も入ってこない。


「だから、海斗と高橋さん。沙耶ちゃん、だっけ?」

「そう。でも透くん、沙耶ちゃんには手出さないでよ?純粋無垢なんだから」

「出すわけないじゃん、親友が好きだってんのに」


そんな本当かも分からない言葉に、わたしは安心した。


もし透くんが沙耶ちゃんのことを好きだったらどうしよう。
友達として、応援するべきなのかもしれないけど、わたしはきっとそれができない。


透くんの肩と、わたしの肩がぶつかる。
その後、わたしの左手と透くんの右手が重なった。


透くんは何も言わない。
まるでそうやって、距離が近いのが当たり前みたいに。


ああ、ほんとひどい人。


くっついたり離れたり、どっちつかずの距離でわたしと関わり続ける、ひどい人。
それなのに、わたしはこの人のことを嫌いになれない。
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