となりの初恋
幻聴だったのかな。
一回だけ、「花菜ちゃん」って呼ばれた気がしたんだ。
そう呼ばれたから、わたしは止まった。
なのに今、透くんはわたしを「石川ちゃん」って呼んだ。
「……花菜ちゃん。こっち向いてよ」
寂しそうな声に、わたしは振り向いた。
透くんは何か言いたげな表情をしていた。
「……分かんないんだよ、俺」
「透くん……?」
透くんが分からないことって、何なんだろう。
頭だって良いし、確か運動だって出来るし。
そんな透くんが分からないことなんて、あるのだろうか。
「……恋って何?好きって何?そんなことして、メリットなんてあるの?」
驚いた。
あんなに女の子に囲まれて、恋愛なんて簡単そうにしていた透くんが、そんなことを言うなんて。
余裕そうな態度も、優しい声色も、透くんは何のためにそんな態度を取っていたのだろうか。
「……透くん」
一回だけ、「花菜ちゃん」って呼ばれた気がしたんだ。
そう呼ばれたから、わたしは止まった。
なのに今、透くんはわたしを「石川ちゃん」って呼んだ。
「……花菜ちゃん。こっち向いてよ」
寂しそうな声に、わたしは振り向いた。
透くんは何か言いたげな表情をしていた。
「……分かんないんだよ、俺」
「透くん……?」
透くんが分からないことって、何なんだろう。
頭だって良いし、確か運動だって出来るし。
そんな透くんが分からないことなんて、あるのだろうか。
「……恋って何?好きって何?そんなことして、メリットなんてあるの?」
驚いた。
あんなに女の子に囲まれて、恋愛なんて簡単そうにしていた透くんが、そんなことを言うなんて。
余裕そうな態度も、優しい声色も、透くんは何のためにそんな態度を取っていたのだろうか。
「……透くん」