となりの初恋
でも今の俺達にとって一番似合うのは、きっとこんな青臭い台詞だ。


子供ではなくて、でも大人にもなりきれなくて。
わがままが通用しなくなって、自分で責任を持たなきゃいけなくなって。


子供と大人の中間でぶらぶらと浮いているような俺達には、こんな台詞がきっとちょうどいい。


俺が青臭い台詞を吐いた後、透はしばらく何も言わずに黙っていた。
と思えば、突然ぷっと吹き出す。


「おい透、何笑ってんだよ」

「いや、面白いなぁって。友達だろって、漫画でもあるまいし」

「良いだろ、漫画みたいでも」


透はもう空になったコーヒーの缶をゆるゆると振り、名残惜しそうに見つめながらもう一度口をつけた。
もうコーヒーは入ってないのに。馬鹿め。


口の端についたコーヒーをぺろりと舌で舐めて、息をついてから透は口を開いた。


「……そうだね。良いのかもね、漫画みたいでも」

「どういう意味だよ」
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