となりの初恋

透side



昔から恋は苦手だった。


というか、必要性を感じていなかった。


『なぁ透、好きな子いる?』

『好きな子?いないよ』


何度聞かれても聞かれても、毎回同じ返しをした。
それなのに男子も女子も、嫌というほどに聞いてくる。


告白されることも何度かあった。
でも好きだと思えることはなかったから断り続けた。


俺のせいで誰かに傷ついては欲しくない。


だから求められるままに行動し、常に誰かのために動いてきた。
頼まれたらハグだってキスだってする。
それで誰かが、喜んでくれるなら。


そうして過ごしていたら、いつしか周りに人がいなくなった。


みんな俺を置いていく。
ついてきてくれたり、話しかけてくれたりするのは女の子だけで、男子は一切俺に話しかけてこない。


面倒臭い、と思った。


「自分は女の子にはモテないから、モテるやつは敵だ」みたいなその考えが。
実際俺が逆の立場だったらどうなっていたか分からないけど、どうでもいいとかそんなことを考えるはずだ。
< 48 / 82 >

この作品をシェア

pagetop