となりの初恋
透side
昔から恋は苦手だった。
というか、必要性を感じていなかった。
『なぁ透、好きな子いる?』
『好きな子?いないよ』
何度聞かれても聞かれても、毎回同じ返しをした。
それなのに男子も女子も、嫌というほどに聞いてくる。
告白されることも何度かあった。
でも好きだと思えることはなかったから断り続けた。
俺のせいで誰かに傷ついては欲しくない。
だから求められるままに行動し、常に誰かのために動いてきた。
頼まれたらハグだってキスだってする。
それで誰かが、喜んでくれるなら。
そうして過ごしていたら、いつしか周りに人がいなくなった。
みんな俺を置いていく。
ついてきてくれたり、話しかけてくれたりするのは女の子だけで、男子は一切俺に話しかけてこない。
面倒臭い、と思った。
「自分は女の子にはモテないから、モテるやつは敵だ」みたいなその考えが。
実際俺が逆の立場だったらどうなっていたか分からないけど、どうでもいいとかそんなことを考えるはずだ。