となりの初恋
となりの「」
「で、透くんうちのこと名前で呼んでくれるようになったの!それに、休み時間も話しかけに来てくれるし……これって脈あり?」
火曜日、いつもの図書室。
私はカウンターで、花菜ちゃんの恋愛相談を聞いていた。
「どうなんだろ……その人のこと、よく知らないからなぁ」
「えー沙耶ちゃん、透くんのこと知らないの?あの龍也くんを!?」
「知らないものは知らないよ、だって違うクラスでしょ?」
「そうだけど……」
夕焼けの光を浴びて美しく輝く髪の毛を指で弄びながら、花菜ちゃんは口を尖らせた。
「というか花菜ちゃん、その人のどういう所が好きなの?あれ、これ聞いたっけ」
「何回でも話してあげますよ。まず顔。女かと思うくらい綺麗な顔なの!で、その顔から発される低い声。このギャップが良くてさ……」
その声を遮るようにドアが開いて、二つの人影が見える。
この日、この時間。
来る人は大体見当がつく。