となりの初恋
顔が上手く見れなくて、反射的に目を反らした。
櫻井くんの笑い声だけが聞こえる。
「高橋さん、これお願い」
「はい」
なるべく目を合わせないようにしながらバーコードを読み取って、最終ページに貼られた紙に返却日の日付の判子を押した。
「ありがと。そうだ、聞きたいことあって」
本を鞄にしまって、またソファに座る。
私を見ると、微笑みながら口を開いた。
「高橋さん、好きな人っている?」
突飛すぎる質問に、思わず咳き込む。
やっと咳が治まった頃、櫻井くんは私を気にかけながら話してくれた。
「何急に……びっくりした」
「いやごめん、気になったんだよ」
好きな人……か。
「好き」って、なんなんだろう。
恋を経験してこなかった私にとって、その感情は得体の知れない怖いものだ。
気づかないでいたい。
その怖いものに、足を踏み出したくない。
足を踏み出したら戻るなんていう選択肢はなくて、進むしかない。
櫻井くんの笑い声だけが聞こえる。
「高橋さん、これお願い」
「はい」
なるべく目を合わせないようにしながらバーコードを読み取って、最終ページに貼られた紙に返却日の日付の判子を押した。
「ありがと。そうだ、聞きたいことあって」
本を鞄にしまって、またソファに座る。
私を見ると、微笑みながら口を開いた。
「高橋さん、好きな人っている?」
突飛すぎる質問に、思わず咳き込む。
やっと咳が治まった頃、櫻井くんは私を気にかけながら話してくれた。
「何急に……びっくりした」
「いやごめん、気になったんだよ」
好きな人……か。
「好き」って、なんなんだろう。
恋を経験してこなかった私にとって、その感情は得体の知れない怖いものだ。
気づかないでいたい。
その怖いものに、足を踏み出したくない。
足を踏み出したら戻るなんていう選択肢はなくて、進むしかない。