となりの初恋




「で昨日一緒に帰ったとき、今度どっか行かない?って誘われたの!これもう両想いかな!?」


私の席と櫻井くんの席の間で、飛び跳ねながら報告してくれる花菜ちゃん。
隣の席には誰もいない。
昼休み、櫻井くんはいつも屋上にいるから。


「……うん、両想いなんじゃない」


いつもなら私だって同じようなテンションで会話を続けられるけど、今日ばかりは違う。
昨日の帰り道はいつにも増して寂しかった。


いつも花菜ちゃんと一緒に帰っていたし、一人でも大して寂しくはなかったのに。


「ねー、沙耶ちゃんどうしたの?具合悪い?」

「具合悪いと言ったら悪いかも……」


花菜ちゃんは私を心配して、額に手を当ててくれる。
それから顔をのぞき込んだり、もう一度額に触れてみたり。


「うーん、熱はなさそうだけど……あ、分かった。もしかして、恋?」


突っ伏していた机から顔を上げて、花菜ちゃんをじっと見つめた。
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