となりの初恋
花菜ちゃんは悪戯を思いついた子供みたいに笑っている。


「もしかして正解?うち、名探偵になれるかも」

「なんで分かったの……」


ポケットから鏡と櫛を取り出して、綺麗に整えてある前髪を直しながら花菜ちゃんは言う。


「今日の朝、透くんが言ってたの。海斗が何かおかしいーって」


最近花菜ちゃんと透くんは毎朝一緒に登校している。
もう付き合っているんじゃないかと思うけど、告白はされていないししていないらしい。


「海斗がおかしくなるなんて、沙耶ちゃんのことでしかありえないって。そしたら沙耶ちゃんも落ち込んでたって訳」


折りたたみ式の鏡をぱちんと閉めて、ポケットにしまう。
私の机に頬杖をついて、花菜ちゃんは両手を頬に添えたあざといポーズを作った。


「で、何があったの?このお姉さんに何でも話しなさい」


私は重たい身体を上げ、椅子に座り直すと口を開いた。


「……気づいちゃった。櫻井くんのこと、好きなんだって」
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