となりの初恋
自分が櫻井くんを傷つけたのに、櫻井くんから素っ気なくされると悲しくなる。
ドアの方を見た。


花菜ちゃんと透くんは変わらず、二人で笑って話している。
いいなぁ、幸せそう。


あの二人にはよっぽどのことがない限り、離れるなんて選択肢はないんだろう。
恋人同士という関係ではないけれど、二人は幸せそうだ。


花菜ちゃんが透くんに手を振って、違うクラスの透くんは離れていく。
携帯を握りしめながら花菜ちゃんはこちらに走ってきた。


「来週の日曜、水族館行くことにした。その日、告白してくる！」


その発言が突然すぎてびっくりしたけど、花菜ちゃんの顔から決意が見て取れた。


その笑顔に、強く背中を押された気がした。


「え？告白？花菜ちゃん、本当に？」

「本気！どんな結果になっても良いから、自分の気持ち、伝えてくる」


そう言って笑う花菜ちゃんは、誰よりも可愛いと思った。


恋をすると女の子は可愛くなる。


私はずっと、それが本当なのか疑っていた。
< 66 / 82 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop