となりの初恋
「今日の放課後、図書室に来てくれない?言いたいことが、あって」


後ろにも前にも、誰にも聞かれなかったのが不幸中の幸いだろう。


誰かに聞かれてしまっていたら、私は恥ずかしさで死ぬしかない。
ただ櫻井くんに言うのでさえ、こんなにも緊張しているというのに。


「……いいよ。いつも通り、図書室行くわ」


その返事が合図かのように、並んでいた隊形を崩して、私は教室に入った。


教室の女子は一つに集まり、頭を抱えたり目を擦ったりと、どうやら落ち込んでいるご様子。


私はそれに首を突っ込める分際ではないので、スルーしようとすると女子の一人に腕を掴まれた。


「あ、え?」

「石川さんのこと、聞いた?」

「あぁぁ、そういう……」


なるほど、透くんが取られたのが悲しいってわけか。
理解したはいいものの、なんて返せばいいのかが分からない。


「意味分かんないまじで、海斗くんのこと好きとか言ってたのに」
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