となりの初恋
それが嫌だって訳じゃないけれど、見てしまった手前、引っかかるものがあるというか。


勝手に見ておいて何を言うと思われるかもしれないけど。


「……見ちゃった。私、櫻井くんが告白されてるの」

「そっか。でも断ったよ」


断った?
あの感じ、OKするんじゃないの?違ったの?


「断った……?え、どういうこと?」

「高橋さん、見てたんじゃないの?俺普通に断ったけど」


困惑したまま櫻井くんに近づこうとしたら、思いっきり足を本棚にぶつけた。
しかも尖っている本の角に。


声にならない声が口から漏れ出す。
櫻井くんは笑いながら私を心配している。
こんなダサい行動、笑いものにでもしてください。


「そうだ、話したいことあるって言ってなかった?聞くよ」


櫻井くんがいつものソファに座ったから、私もいつもの定位置、カウンターに座る。


手を伸ばせば届く、この距離感。
でも、お互い手は伸ばさない。
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