ハニー&クールな双子は再会した幼馴染みを愛しすぎている
 失敗したって思う。

 成長しすぎないで欲しかったところまでじっくり見られた。

 背は伸びないのに、胸だけ大きくなって……こんなみっともない体じっくり見られたくなかったのに。

 夏でも大きめサイズのベストを着て目立たないようにしているけど、注意深く見られたらある程度は分かる。

 蒼くんも、変な目で見てくるようになるのかな?

 それか、胸の大きい子は苦手だからって『気持ち悪い』って言うのかな?

 今までの男子の反応を思い出して怖くなった。

 冷たくて失礼なことを言う蒼くんだけれど、まだ初恋の相手というほのかな思いがあったから……男としての反応をされたら昔の思い出まで壊れてしまいそうで、怖かった。

 でも少しばつが悪そうに顔を背けた蒼くんは、今までより優しくなった口調で話す。


「まあ、確かに成長もしてるだろうけど……」


 ポンッと、大きな手が私の頭に乗った。


「変わってないところもあるって分かったよ。奈緒は、昔のままかわいい……今日見ててわかった」


 優しい口調と、五年前を思わせる仕草にゆっくり顔を上げる。

 見上げた蒼くんは、五年前と同じ優しい笑顔を浮かべていた。

 やっと初恋の人と再会できたような心地になって、私は胸が温かくなる。

 時間が経って、つぼみになってしまっていた恋の花が……ほころんだ気がした。

 そのまま数秒見つめ合っていたら――。
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