ハニー&クールな双子は再会した幼馴染みを愛しすぎている
「……そういえばさ、蒼くんどうしてあんなに素っ気なくなっちゃったの?」

「え……?」


 質問自体に驚いている様子の翠くんに、私は慌てて付け加える。


「あ、言えないことならいいんだよ? 理由を知らなくても二人が大事な幼馴染みだってことに変わりはないんだから」


 聞いておいてなんだけれど、本人じゃなくて兄から聞き出そうとしている状況は良いことじゃないなと思い直す。

 聞かれたくない過去かもしれないんだし。

 でも、翠くんは少し迷ってから「いいよ、教えてあげる」と言った。


「多分、蒼からじゃあ話せないだろうし。俺が教えとく」


 かわいい顔に優しい困り笑顔を浮かべた翠くんは、弟を思う兄らしい目をして語る。


「蒼は前の中学校でちょっと色々あったからね」


 そう話し出した翠くんによると、転校した先の中学でちょっと派手な女子が蒼くんに告白をしたんだそうだ。

 蒼くんは告白を断ったらしいんだけど……。

 その子の兄がガラの悪い――いわゆる不良で、『妹を泣かせんな』とか言って暴力を振るってきたんだとか。


「そんな……」


 そんなことがあったなんて……。

 もう何年も前のことだとしても、蒼くんがそんな目に遭っていたという事実に胸が苦しくなる。
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