ハニー&クールな双子は再会した幼馴染みを愛しすぎている
「その後も脅されたりしつこくその子に迫られたりして……でも、だからこそ絶対つきあいたくなかったらしいんだ」


 だから今みたいに、周囲に対して冷たく素っ気ない態度を取るようになったって。

 そうすることでしか、自分を守れなかったんじゃないかって……。


「俺、兄なのに守ってやることも出来なくてさ……本当、情けないよ」

「翠くん……」


 今にも泣きそうに声を震わせる翠くんに、私まで胸が締め付けられる。

 きっと、翠くんも辛かったんだね。


「……ごめんね、嫌なこと思い出させちゃって」


 聞かなきゃ良かったって後悔したけれど、翠くんは目を潤ませたまま微笑んだ。


「ううん。話すって決めたのは俺だし……それに、奈緒ちゃんには知っておいて欲しかったんだ」


 そう言って深呼吸した翠くんは、切り替えるように明るい笑顔を浮かべる。


「きっと、蒼もそう思っているだろうから」

「そう、かな?」


 知られたくなかったってこともあるんじゃないかと思ったけれど、片づけに戻った翠くんは「そうだよ」と自信ありげに笑みを浮かべるだけだった。
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