ハニー&クールな双子は再会した幼馴染みを愛しすぎている
「ヒーローのつもりか? でも、俺にこんなことしてただで済むと思うなよ?」
怒りを湛えたままニヤリと笑う名倉先輩の顔は、今まで見たことのない表情で……。
本当に今までは猫をかぶっていたんだと思い知った。
「俺が一方的に殴られたと言えば悪者はそっちだからな」
「なっ!?」
悪いのは明らかに名倉先輩なのに、自分に人気があるのを良いことに事実をねじ曲げようとするなんて。
本当に、根っからのクズだったんだ。
こんな先輩に憧れていた自分が悲しくて、蒼くんを巻き込んでしまったことが悔しい。
涙を止めて下唇を噛んでいると、ドアの方からまた別の声が聞こえてきた。
「それはこっちの台詞ですよ」
聞き慣れた声。
明るい口調にも聞こえるけれど、明らかに怒っているその声は翠くんのものだ。
「俺、この間言いましたよね? 奈緒ちゃんを泣かせたら絶対許さないって」
笑顔を浮かべているけれど、目が笑ってない。
昔は泣きながら怒るタイプの翠くんだったけれど、今は逆に笑顔で淡々と怒るみたい。
怒りが私に向けられているわけじゃないのに、ちょっと怖い。
でもこの間って、いつの間に名倉先輩と話なんてしたんだろう?
私は疑問に思いつつも、抱き締めてくれている蒼くんの腕の中で、翠くんと名倉先輩の笑顔の睨み合いを見守っていた。
「許さないって……なにをするつもりかは知らないけれど、みんなから信頼されている俺と最近転校してきたばかりの君たちじゃあ、どちらの言葉が信じてもらえるかなんて目に見えてるだろう?」
「……」
翠くんはなにも答えない。
怒りを湛えたままニヤリと笑う名倉先輩の顔は、今まで見たことのない表情で……。
本当に今までは猫をかぶっていたんだと思い知った。
「俺が一方的に殴られたと言えば悪者はそっちだからな」
「なっ!?」
悪いのは明らかに名倉先輩なのに、自分に人気があるのを良いことに事実をねじ曲げようとするなんて。
本当に、根っからのクズだったんだ。
こんな先輩に憧れていた自分が悲しくて、蒼くんを巻き込んでしまったことが悔しい。
涙を止めて下唇を噛んでいると、ドアの方からまた別の声が聞こえてきた。
「それはこっちの台詞ですよ」
聞き慣れた声。
明るい口調にも聞こえるけれど、明らかに怒っているその声は翠くんのものだ。
「俺、この間言いましたよね? 奈緒ちゃんを泣かせたら絶対許さないって」
笑顔を浮かべているけれど、目が笑ってない。
昔は泣きながら怒るタイプの翠くんだったけれど、今は逆に笑顔で淡々と怒るみたい。
怒りが私に向けられているわけじゃないのに、ちょっと怖い。
でもこの間って、いつの間に名倉先輩と話なんてしたんだろう?
私は疑問に思いつつも、抱き締めてくれている蒼くんの腕の中で、翠くんと名倉先輩の笑顔の睨み合いを見守っていた。
「許さないって……なにをするつもりかは知らないけれど、みんなから信頼されている俺と最近転校してきたばかりの君たちじゃあ、どちらの言葉が信じてもらえるかなんて目に見えてるだろう?」
「……」
翠くんはなにも答えない。