ハニー&クールな双子は再会した幼馴染みを愛しすぎている
「昨日脅したら、せいぜいこれ以上奈緒ちゃんに手を出すなって約束させることしか出来なかっただろう? それに、下手したらいつか裏をかかれてしまう危険性もあった」


 先に私たちに冤罪を着せられそうになってる、なんて噂を流されたりすれば、脅迫のネタを公開してもこっちが悪いようにしか取られなくなるって翠くんは話す。

 そこまで考えていたなんて……と、私は感心するしかない。


「だから、確実に潰すために昨日は我慢してもらったんだ。あの先輩、大学の推薦も出願してたみたいだから、これで推薦もらえなくなっただろうな」


 ざまあみろ、と満面の笑みで話す翠くんはやっぱり意地が悪い。

 でも、私も自業自得だよねって思っちゃったからあまり人のことは言えないかな?


「翠……お前、なんて言うか……えげつなくなったな?」


 蒼くんはあきれ顔だったけれど、だからといって名倉先輩に同情している様子は無い。

 まあ、冤罪を着せられそうになったんだから当然だよね。

 翠くんは蒼くんからの評価に「はは!」と笑ってから、突然兄としての優しい顔になる。


「俺は中学のとき蒼を守れなかったから。でも、だからこそ今度は守るよ。蒼も、奈緒ちゃんも」


 その言葉に込められた思いを感じ取って、私と蒼くんは言葉が出なくなる。

 ただ、「ありがとう」とだけ伝えた。
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