女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
政財界を背負うだろう若い年代達と、上流階級のお嬢様達との交流会。言わば、集団お見合いのようなものだ。
毎年、同じ顔ぶれで開催され、なんの楽しみもないが、今後の関係を維持する為に嫌々ながら理央と参加していた。
もちろん、そこには千紘も玲央もいる。
私の側から離れない2人は、私の内々の許婚候補から婚約者候補に上がっているということなど知らないご令嬢からしたら、面白くないのだろう。
千紘は堅物だが、それなりの社交性は心得ているし、キリッとしたイケメン顔に武道で鍛えた厚みの体は、スーツの上からでも伺える。そんな千紘に思いを寄せるご令嬢にしたら、私は邪魔な存在。
玲央は、優しい顔で、人好きのする笑顔に誰もが見惚れ、直接、微笑まれたら頬を染めトキメクほどのイケメン。痩せてはいるが、ガリガリというわけではなく、細マッチョぐらいの体格。頭脳明晰で愛想のいい玲央は、女性達から人気だが、私の側にいるせいで近寄れないご令嬢からしたら私は腹立たしい存在。
毎年のことながら、あちこちから感じる視線に、嫌気がさす。
「化粧を直しに行ってくるわ」
「うん」
玲央は答え、千紘は頷く。