女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に

私の片割れの理央は、嫁になろうと躍起になっているお嬢様方の相手をしている。一夜の遊びにも選ばれることもない方々の必死な姿は滑稽で、私にまで媚を売る。そのくせ、玲央や千紘にも粉をかけて、目の敵にする。

そんな扱いが私だ。

ストレスが溜まるのは仕方ないだろう。

レストルームに誰もいないことを確認して、叫びたい声を我慢し、イライラしながらドレスポーチの中からタバコを出して吸い出した。

電子タバコなので、煙臭くならないから、誰にも知られずに愛用している。大人になった私になくてはならない存在になっている。

「はぁぁ…」

深いため息。
鬱憤を叫びたいが、誰かに聞かれる可能性のある場で、叫ぶほど愚かではない。

万が一、人が入ってきてもタバコなら、笑って誤魔化せる。ご令嬢の中にも愛煙者はいるからだ。

そこへ、お嬢様方の集団だ。
チャンスだと思い、きっと、私を追ってきたのだろう。

「あら、亜里沙さんいらしたの?」

彼女の腰巾着達のわざとらしい笑いが物がっている。

「結城さん達もご休憩?」

結城財団のお嬢様、舞子さまは、私を一番の目の敵にする人物で、女王様と呼び出した人物でもある。
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