女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
「えぇ、そうなの」
「休憩も終わりましたし、私はお先に失礼します。ごゆっくりどうぞ」
この人といるのは疲れるので、早々に退出しようとタバコをポーチにしまった。
「あら、そんな急いで出なくてもいいじゃない。皆でお話しましょうよ」
「そうですわ。こちらに座って」
私の手を掴み、離さないというように無理やりソファに座らせ、左右を陣取る腰巾着と舞子さま。
「ねぇ、亜里沙さんは、いつまであの方達を従えているおつもりなの?」
従えているつもりはありませんけど、これは女王様呼びしている彼女らの嫌味なのだ。
「なんのことです」
「玲央様も千紘様も幸せになる権利がありますわ。あなたが側にいては、出会いの場も意味がなさないと思いません?」
明け透けに感情を出すほど、今回は腹が立っているらしい。彼女らも私同様、結婚適齢期で焦っているのだろう。
「ごめんなさい。私もそう思って、何度も感じるあなた方からの視線に応えてあげるべきよとは、お話ししてあげているのだけど、彼らは動こうとしてくれないの。どうにもしてあげれないのが申し訳ないわ」
グッと歯を食いしばり、笑顔を崩す集団。数で威圧して勝とうと思ったのだろうが…
ふん、私に勝とうなんて100年早いわよ。