女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
そんな男だと彼女らも知っているだろうに、よほど、私の態度が気に入らなかったようだ。
「私が、最上さんに亜里沙さんのことお勧めしておきましたのよ。ポッと出同士でお似合いですわよ」
結城財団のお嬢様でありながら、久世家がどんな立場なのか理解できていないらしい。小学生の時に樹里をいじめてた、彼女の弟がどうなったか忘れたのだろうか?
そんな話をうちの父に知られたら、結城家も彼女もどうなるだろうと考えもしないあたり、甘やかされて育ったお嬢様なのだろう。
大人になった今も、久世家の立場を知らないのか、敵意剥き出しで知ろうと思わないのかはわからないが、今後も何があろうと彼女との結びつきはないだろう。
バカにした笑いに、負けるわけにいかない。
「まぁ、そうですの⁈それで、最近、最上さんが話しかけてくださってましたのね。ここ数年、IT企業は急成長してますものね。結城デジタルも最上さんのところと提携されるとか」
ここ数年IT企業におされて、結城家が経営するユウキデジタルは、赤字が続いているので、これくらいは仕返しさせてもらう。
世間を知らない甘やかされたお嬢様は、立ち上がって苦々しく顔を歪めて私を見下ろした。