女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
「私が好き好んで…あなたも落ちればいいのよ」
彼女は捨て台詞吐いて出て行き、腰巾着も慌てて後を追いかけていった。
やっと、一人になれて、数十分におよんだ闘いの勝利よりも過度のストレスが増え、疲れていたのかもしれない。
しばらく、誰も来ないだろうと油断していた。
「あー、ストレス溜まる。誰でもいいから私を癒してよ」
「いいよ。僕が癒してあげるよ。亜里沙」
「…玲央⁈」
「なんだい?」
「ここ、女性用よ」
「わかってるよ」
近づいてきた玲央は、私の前に片膝をつく。
「僕が身も心も癒してあげる」
「どういう意味?」
「そのままの意味だよ。タバコを吸うなんてやめなよ」
「気づいてたの?」
「うん。愚痴は言わない、人に甘えることもしないから、ストレスが溜まるんだ。タバコの代わりに僕がなってあげるから、試してみない?」
「なにを?」
私の膝頭に唇をつける玲央。
「ちょ、ちょっと何するの?」
「嫌がることはしないよ。リラックスしてて、試してみよう」
「…ちょっ…きゃー」
こちらの意見など聞く気もなく、玲央は、私を抱き上げて横抱きにしてソファに座り直した。
そして、子供をあやすように背を叩き、私の頭を玲央の胸に預けるように抱き込んできた。
「今日は、甘えることを覚えようね」