女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
カチンとくる物言いに、食いついてしまう。
「私だって、できるわよ」
「自慰も、誰とでも寝れるの?」
玲央の笑顔が、初めて怖いと思った。
「な、なんか怒ってる?自慰ぐらいならできる
ってことよ。初めては旦那様になる人って決めてるから、私は誰とでもなんてむり。愛してもいない人とできるものなの?」
頭を撫でられ、いい子いい子と子供扱いは気に入らないが、玲央の機嫌が戻ったので、まぁ、いいかと思うことにした。
「ストレス社会だからか、嫌なことやストレスを忘れる為に、SEXにのめり込んでしまう人も多いよ。吹き飛ぶくらいの快感が癖になって誰とでも関係ができるぐらい溺れて依存性患者もいる」
「そうなんだ。でも、そんなに気持ちいいものなの?」
「自慰も知らない亜里沙には、癖になる快感はわからないよ。手始めに今日、家に帰ったら自分でしてみたらいいよ。快感を拾えたら、ストレスが飛ぶぐらい気持ちいいはずだ」
「…気が向いたらね」
心療内科医なりに、心配で言ってくれてるのだろうが、まるで惑わせる声でそう言われてる気がした。
玲央とレストルームを出る際に、なかったはずの使用禁止の看板が置いてあり、玲央を見ると苦笑して、元に戻しにいく。
もう…なんだかんだ憎めない男なのだ。