女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
それでも、弱い姿を見せたら今後も見下される。私が弱いと、下の兄妹達も同じ目に合うかもしれない。
久世家の為、兄妹達の為、毅然として相手にしなかった。
それさえも、気に入らない子らはいて、大人の目に見える嫌がらせはなくとも、偶然を装っていろいろと仕掛けてきた。
玲央と理央が、それに気づいて庇えば庇うほどエスカレートしていく。
辛く、悲しかった…
なぜ、私がこんな目に合うのか?
久世に生まれたから?
他の家に生まれていたら?
父も、母も、祖父母も、曽祖父も悪いわけではないから憎めない。
そして、大好きな家族なのだ。
心配かけたくないからと理央に口止めをしたが、幼い私には、克服する策は思いつかなかった。
そんな時、私を哀れに思ったのだろう玲央が、慰めに言ってくれた言葉がこれだった。
『君をいつか(こんな世界から)連れ出してあげる』
そんな日が来ると期待はしていなかったが、おかげで、私は大人になったら、『こんな世界から出て、誰も知らない場所で生きてやる』と強く思い、誰よりも強くあろうと、たくさんのことを学び、笑顔で相手の痛いところをつく玲央を見習って、言葉で徹底的にやり返してきた。
それのせいもあり、嫌なあだ名がついた理由の一つだろう。