女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に

「覚えてる。そのおかげで今の私があるもの。でも、ちょっと疲れてるかも。…息抜きしたいな」

「僕がいつでも連れ出してあげるよ」

私を抱きしめていた腕で、ぎゅっと強く力を入れてくる玲央。

玲央の胸に顔を埋め、強く抱きつく。

玲央が好きだなぁ…

ストンと心の中に落ちてきた。

あぁ、私は玲央が好きなのだ。

玲央の家より千紘の家との結びつきが、家の為になるとわかっていながら、今まで、心を決めれなかった理由に気づいてしまった。

だから、ストッキングを破り、肌に口付けるあんな行為を嫌悪なく受け入れてしまったのだ。

千紘に同じように言われても、その時点で抵抗していたに違いない。

最上だったら、もう、蹴り潰している。いや、触りたくもないし、触られたくもないから、最初からお断りだ。

「ねぇ」

「なに?」

「癒すとか言って、ストッキングを破る必要あったの?」

「…」

答えない玲央の顔を覗く。

「れお?」

「ごめん…間違えてるって気づいて、途中でやめた」

「どういうこと?」

ジロリと玲央を怒った顔で睨んだ。

「はぁぁ…その顔は、言わないと口聞かない顔だな。もうさ、気づいてよ。どうして、亜里沙の側にいるのか?どうして甘やかしたいっていうのか?癒したいって思うのか?わからない?」
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