女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に

これだけの独占欲の痕をつけられ、愛されている樹里を羨ましい。

「はぁっ…、ママは兎も角として、男連中にバレないようにね。バレたら、あんたの男、あの世行きよ」

母に似た樹里を男達は溺愛して、近寄る男という男を排除してきた過去がある。

「まさか⁈」

「誰だか知らないけど、そいつ大丈夫?」

「うん、公務員だし、ちゃんとしてる。言葉も丁寧だし、礼儀正しいよ」

それだけで、誰かわかってしまう。私達の知りあえる公務員なんて一人しかいない。

だが、樹里はバレていないと思っているようだ。

「あー、あんたの男あいつなの。だから、あの日、おかしいと思ったのよ。とうとう我慢できなくなったのね…パパにバレたら、あの話、終わりね」

樹里を守れる男として相応しいか、試されていた男は、我慢が効かなかったようだ。

「なに?」

「シークレットだから」

唇に人差し指を立て、意地悪で私の知る内容を教えなかった。

樹里は、内々で決まっている許婚と両思いでいることが羨ましかったのだ。

私は、長女だからと久世の為にと縛られて、このまま生きていくのか?

樹里の行動力が刺激になり、私は、決めた。

後悔のないように…

好きな男に好きだと言える環境へ、飛び立つ。
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