女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に

私は、変わる…
久世家の為じゃなく、自分の為に…
自分の心のまま生きてやる。
そう、誓うと心は軽くなり、玲央への気持ちが溢れていく。

幸せそうな樹里を前にして、結局、玲央の様子を聞くタイミングがつかめないままだった。

それから数日して、お昼をだいぶ過ぎた時間に玲央から連絡がはいった。

『待たせてごめんね。準備ができたよ。今日、トリップへ出かけよう。大和港まで出ておいで。クルーズ船旅行カウンターの前で落ち合おう。出港時間は19時だからね。待ってるよ』

「全然連絡してこなかったくせに…突然すぎるよ。クルーズ船旅行って、突拍子過ぎない⁈」

ブツブツと文句を言っているが、前もって用意していた物達を鞄に詰めている私の顔はにやけていた。

小さなキャリーケースに荷物を詰め終わり、さて、どうやって内緒で出ようかと思っていたら、部屋のドアがノックされる。

「亜里沙⁈」

ドアの向こう側から私の名前を呼ぶ声は、理樹だった。

「な、なに?」

「あのさ…港まで送る…そっと裏から出てきてよ」

それだけ言って、理樹の足音が遠のいていった。

見ていたかのようにメールが届く。

『理樹に協力してもらったよ』
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