女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
照れくさくてパッと離れて、窓際に沿って並ぶソファに膝たちして海を眺めた。
ソファが沈み、片膝をついて背後から抱きしめてくる玲央が、体重をかけてくる。
「重いよ…」
「…重いんだよ。僕の思いはこれよりもずっと重い。それなのに、調子のっていいよ、なんて聞いたら歯止め効かない。煽ったのありすだからね…もう、止められない」
顎をつかまれて、顔を横へ向かされ玲央が前屈みで顔を近づけてくる。
玲央がなにをしようと考えているのか私でもわかり、一度見上げて視線を合わせてから、目を閉じた。
はぁぁ…と、淡いため息とともに、力強く抱きしめる腕の中で、甘い口付けに溺れだす。
気づけば玲央はソファに座っていたようで、腰を引かれて玲央の膝の上に横座る。
頭を撫でられ、頬を撫でられながらのキスは、甘く、淡いため息と唇を重ねる淫らな音が、静かな部屋に響いていた。
そこへ、出港前のアナウンスが流れ、2人、ちょうど目を合わせて、照れ臭ささから視線を彷徨わせる。
「船が出るみたいだね。汽笛鳴るとこ見にいこうか⁈」
「…う、うん。そうだね」
照れ笑いして、手のひらを差し出してくる玲央。
つられて照れ笑いしながらその手を繋ぐと、恋人繋ぎに変えてしまった玲央とデッキへ向かった。