女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に

背中を向けて、手すりに手をついて何かをたえる姿があった。

「…れお?」

「うん、大丈夫。よし…館内で食事しに行こう。何、食べる?」

いつもの玲央に戻り、手を差し出してくる姿に、私の心は、大きく揺れていた。

初めては玲央がいいと意気込んでいた。
だけど、告白はしたが、初めてだからか怖さもある。

「んっ?どうしたの?」

「もう少しだけ、待ってて」

最後の覚悟が決まるまで。

「ねぇ、期待するけど。今の僕は、歯止めが効かないよ。キス以上のことしたいんだ。嫌なら嫌ってちゃんと言わないとどうなるか知らないよ」

「えっ…そ、そうなんだ」

「亜里沙を癒すとかいいながら、つけ込んでるんだぞ。…嬉しそうにしてないで怒れよ」

「怒らないよ。れおといるだけで癒されるもの」

「はぁっ…煽るなって言ってるのに…な。僕は、欲求不満になりそうだよ」

「えっ⁈」

「なんでもないよ。まずは、三大欲求の食欲を満たしに行こう」

手を繋ぎ歩きながら、照れながら耳元で甘く囁く玲央に頬が熱くなる。

『食後の後は、ありすとイチャイチャしたい』

先ほどのキスのようなことをするのだろうと思うと、期待で胸がドキドキとしてくる。

そんな私を見透かしているように、玲央は「ドキドキしてる?」と揶揄うのだ。
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