女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
3、渇望する愛が暴走しだす
[ 玲央side ]

壇上にいる気高き女王。
久世家のお嬢様、久世 亜里沙を見つけた。

俺だけのものにできたらどんなにいいだろうか…と何度思ったことだろう。

挨拶に前に出てきた久世家の男達が邪魔で、少し移動する。

すると、数メートル先に、俺のライバルであり、亜里沙の許婚候補として残っている間柄の、千堂 千紘が壇上を見つめていた。

何もかもが気に食わない男。

真面目で、正義感の塊、文武両道で、顔も、まぁ硬派なイケメンって感じで、俺よりも身長が少し高く、細身の自分よりも鍛え上げられた体格の持ち主。

久世の当主に気に入られ、小学部から編入し、内々だが、あっという間に亜里沙の許婚候補筆頭になった男だ。

天狗になるわけでもなく、亜里沙にベタベタと近寄るわけでもない。一定の距離を保ち、亜里沙の双子の理央の友人として接している。

何を考えているかわからない男だが、そこは、さすがだと認めてもいい。

だが、亜里沙を譲る気はさらさらない。

なんとしてでも、この男や久世家の男達の裏をかき、亜里沙を俺のものにすると誓ったのは、もう、何年も昔のことだ。

コツコツと積み上げてきた信頼と努力で、亜里沙からは、気心が許せる仲にまでなってきた。
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