女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
「れおさま、ご一緒していいですか?」
亜里沙でない女達の匂いに、吐き気がおこる。
「近寄るな」
結城財団の娘、舞子が腕に絡んでこようとして振り払った。
手のひらで、口と鼻を覆い、吐き気を我慢する。
千紘は、毎年のことなので呆れた顔で、俺を介抱するふりだ。
この、女達から逃げる口実に使う。
「悪いが、体調が悪くなったらしい。ちょっと失礼する」
「玲央さまー」
早歩きで、甘ったるく呼ぶ声が遠のき、会場を出て、隅で息を吐けば、吐き気も引く。
やっと、息ができる。
首元を緩め、亜里沙を探しに、会場近くにあるレストルームの左右のどちらに向かうかと悩んだ時、会場から、今ほど声をかけてきた結城 舞子の集団が出てきた。
俺は、鼻で笑う。
小物のくせに亜里沙を目の敵にして、何かと因縁をつけて嫌がらせは、集団でないとなにもできない女。昔から、あの女の性根は変わらない。
理央と俺が、黙って知らないふりなどするはずもない。
結城財団が低迷する理由も、結婚相手が見つからない理由も、なぜ、不思議に思わないのだろうか⁈
既に、俺たちの間で嫌悪されている存在だと知らず、男達から相手にされることもなく毎年、参加してくるあらゆる強者だ。