女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
彼女を抱き上げて横抱きにしてソファに座り直し、背を優しく叩き胸に抱き込んだ。
弱っている今なら、これぐらいは許されるだろうか?と試したのだ。
抵抗はそれほどなく、力が抜けていく。
あぁ…もうすぐ、もう少しで…
心根の優しく、弱い面を隠し、この気高く美しく、強くあろうとしながら、頑張っている彼女は、俺の物になる日も近いとほくそ笑むのだ。
「今日は、甘えることを覚えようね」
そういいながらも、あぁ…この匂いだと吸い込む。
甘く香り、俺を惹きつけるただ一人の女。
腕の中の愛おしい存在に、執着じみたキスを頭部へ何度も落とすのだ。
亜里沙を傷つけ、更に呪いのような言葉を吐き捨てた女に向ける憎悪…
亜里沙を手に入れようとする最上への敵意…
排除してやると、頭の中でいくつかのピースを繋げていた。
「どう?癒されない?」
「驚いたけど、すっごく癒される。でも、モヤモヤは消えない」
「そうか…ストレスを溜め込みすぎだ。簡単に発散したりしないの?」
「発散する方法がわからないの。私でも簡単にできることなら教えて欲しいかも」
「えっと、男の僕に言わせる?」
「わからないんだから教えてよ」