女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
虚な結城を見た俺は、加藤から渡っている媚薬を、最上により飲まされているとわかった。
よくもまぁ、思う通りに行動してくれるものだと、内心、大笑いしていた。
媚薬の服用回数が何度目かは知らないが、うちに入院している加藤の犠牲者のように、服用率が高いほど、男なしではいられず狂っていくのだろう。
今後、彼女がどうなろうと知ったことではない。最上共々、亜里沙の前から消えてくれればいい。
この後、2人で、どこへ行こうとしてたのか⁈
どうでもいい会話を長々としながら、結城を見つめた。
それだけで、結城は目を艶めかしく潤ませ、頬を赤らめ、色目を使ってくるのだが、汚らわしい。
最上は、俺の視線に気づき、結城が俺を見つめたまま発情しかけている様子に、表情を険しくさせる。
そうだろう⁈
本来なら、手に入れたい女が目の前にいて、そのパートナーが、自分とかけ離れた外見と家の格がある、憎らしい男が俺だ。
その男に、自分のパートナーが色目を使って、薬でだろうが発情しかけているのだから、面白くもないだろう。
「舞子さん、体調が悪いのですか?」
亜里沙の声かけに、最上は、慌てたように彼女を後ろに隠した。
「先ほど強いお酒を飲まれたようで、今から、休んでもらおうとしてたところなんですよ」