女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に

俺は、それなりに運動神経もあり、割と頭脳が高く、子供らしくないまま育った。同年代の子らがバカに見えて心が捻じ曲がり、喜怒哀楽の乏しい子供。

いわゆる、大人びた子供だったのだ。子供が欲しがる物にも興味もなく、わがままを言うわけでもない。人に合わせて偽ることもできて、家で飼っていたペットの死にも、何の感情も起きない。

なんの面白みもなく、ただ、与えられた役割りである医者として生きていくのだと、幼いながら悟っていた。

そんな俺を心配した親により、理央に最初に会わせられたのが、小学生になる少し前のこと。

同じ学校へ通わせる為もあり、いい刺激になるだろうとの親心だった。

確かに、理央に出会い、俺の全てがひっくり返る。

会えば会うほど、この男についていけば、なんの色味もなかった俺の生活が一変し、面白みのある生活ができると思える相手だ。

卓越した行動力と洞察力、そして突出した思考。魅力ある佇まいと風貌に、裏表の隠せない素直さは魅力がある。

だが、欠点が一つ。
双子の亜里沙と妹達を溺愛し、過保護にしている点だ。

最初は、兄妹といえ、なぜ、そこまで?と俺には疑問でしかなかった。

だが、亜里沙と出会い、彼女は俺の全てになった。
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