女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
こんな醜い世の中は彼女にふさわしくない。
力をつけて、自分が彼女を救うのだと…
いつか俺の作った檻の中で、笑っていればいい…
そんな気持ちからだった。
だが等々、陰で泣いていた彼女は、反撃にでた。
足を一歩踏み出して、胸で腕を組むその姿は強く美しかった。
相手を言い負かす姿は、圧巻で、言葉に言い表せないほど、神々しいと思えたのだ。
まさに、君臨する女王のようで、それ以来、彼女に表立って歯向かう輩はいなくなり、へりくだる輩が増えた。
まぁ、小物が爪を立てるが、亜里沙に言葉で勝てず追い払われる姿は、俺は爽快だったが、彼女は違っていた。
本来の彼女は、争いは苦手なのだ。
それなのに強くあろうと頑張り過ぎてしまう。
心は綺麗で優しく、弱い面があるから、心が疲れるのだ。
心がどこか欠落し病んでいる俺と真逆の彼女に、恋し、惹かれる理由はそこなのだ。
本来の性質など、易々と変わらない。
俺は亜里沙の前でそれらを全て隠して、僕という言葉で偽っている。マインドコンロールのようなものだ。
少し、素直で嘘のつけないふりをし、穏やかで優しい男として長い間演じ続けている。亜里沙の側にいる限り演じ続けるだろう。