女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
そんな男を女達が放っておくはずもない。
男だし、私の知らないところで、それなりの経験があるのだろう。
そう思うと、訳の分からない嫉妬がおこるのだ。
私を好きだと言った、その唇で、何人の女に愛を囁き、キスして、抱いてきたのだろう?
目の前にあるワインをがぶ飲みしてしまうほど、苛立っている。
「飲み過ぎじゃない?」
「邪魔しないで」
取り上げようとするグラスを、死守して、中身を飲み干した。
「あーぁ」
呆れ声の後、あたりを見渡し、軽く手をあげてウェイターに何やら合図している。
「部屋にワイン運んでもらうから、戻ろう」
まだまだ、飲みたりない私は、それならいいかと、玲央と席を立ち、部屋へ戻ることにしたのだが…酔っていた。
足元がおぼつかないようで、玲央に支えられながらの部屋に戻ることに。
「緊張してる?」
にこりと笑われるが、男と旅行するのも、一緒に部屋に泊まるのも初めてで、まして、今からのことを考えたら、緊張せずにいられるものか…
この男は、なぜ、こうも平然としていられるのだ?
意趣返しではないが、言い返してやりたくなる。
「してる。好きな人と2人きりの旅行だもの。れおは、緊張しないの?」