女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
「緊張してるよ。大好きな亜里沙の側にいるといつも、緊張してる」
甘いセリフで言い返されて、逆にこちらが戸惑ってしまった。
「…そんなふうに見えない」
「ほんと。好きな子と一緒にいて、緊張しないわけないだろ。今日から2人きりなんだ、いつも以上に緊張してます」
苦笑してみせた玲央が、部屋のロックを解除し、私達は部屋に戻ってきた。
入ってすぐに、「緊張してる」と言ったその口で、前屈みになって唇にキスしてくるのだから、絶対、緊張などしていないと、顔を背けてキスを私から解いていた。
「どこが緊張してるのよ。慣れてる感あるし、あちこちで遊んでたんでしょ⁈」
急に、腰を抱きしめて向かい合わせになり、顔を傾けて、こちらの表情を見て嬉しそうにしている姿が、ほんと、腹立たしい。
「嫉妬⁈してる?」
「知らない、バカ。見ないでよ」
両手で顔を隠したのだが、手の甲の上に大量のキスの嵐にあう。
「あーもう。可愛い…嫉妬してくれて嬉しい。どうしよう?嬉しすぎて…胸が苦しい」
腰を抱いていた手が離れ、逆にすぐそばの壁にぶつかる大きな音に、手を離して見ると、玲央が胸を押さえて苦しんでいる。
「…れお?…えっ、大丈夫?」