女王様を甘やかしたい〜 愛の逃避行は計略的に
「上のバー行ってくるね」
「…いってらっしゃい」
こちらを見ようとしない梨沙は、何か、勘づいたようにタブレットの手を止めた。
それを目の端に入れながらも、立ち上がって部屋を出た私の心は、このお披露目会を抜け出して、彼に甘やかしてもらう為に、急いでいた。
待ち合わせの部屋のドアを2回ノックする。
私達の合図にガチャリと少しドアが開いて、私は中へ入っていくのだ。
「お疲れ様 ありす」
私の腰を抱き、憎たらしいぐらいの笑顔の玲央。
「…ほんとにするの?」
「するよ。亜里沙を癒したいんだ」
私をベットの端に座らせ、床に片膝をつく礼央は恭しく私の片足を取り、足の甲に口付ける。
ストッキング越しとはいえ、玲央の唇と吐息にゾクリと泡立ち、息を飲む。
「嫌がることはしないよ。ただ、手伝いをするだけ。久世家の重荷に耐えて、頑張っているありすを癒したいんだ。快感を拾って、感じることに集中して、頭の中空っぽにする手伝い。僕の前だけは、ありすの弱い部分見せていいんだよ。だから、命令して」
「…私を甘やかして、癒して」
「ご命令のままに、女王様」
もう一度、足の甲に口付けながら、ヒールを脱がしていく。そして、もう片足にも口付けとヒールが脱げていく。