元カレ消防士からの爽やかな溺愛 〜厚い胸と熱い思いで家族ごと愛されて〜
 仏壇の横に飾られた、ご両親の写真。
 それは、あの日と変わらない。笑顔のまま、時間が止まってしまった二人が寄り添い笑っている。写真が鮮明なままなのは、きっと大輝が大切にしてきたからなのだろう。

 生きていたら、うちの親のように年を取っていたのだろう。
 白髪が増えてる? それとも、後退してたりして――。
 きっと、笑い皺の多い二人になっていただろう。

 あの日のまま変わらない大輝の両親の写真。私はあの日、うちの両親に自分の両親を重ねていた大輝を思い出す。

 毎日、こんな気持ちなのかな。
 そう思ってちらりと大輝の後ろ姿を見るけれど、その優しい背中を見ただけでは、大輝がどう考えているかなど分かるわけもない。

 これ以上思考がマイナスになる前に、私はそっと蝋燭に火を(とも)した。
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