パパになった消防士は初恋妻を燃え滾る愛で守り貫く
 そっと目を開ける。
 視界の端で、ご両親はあの日のまま笑っている。
 これは、私なりの誓い。私なりの誠意。
 伝わったかな。

 思いながら、そっと立ち上がる。

「うーーーかんかんかん! うーーーかんかんかん!」
「緊急車両が通ります! 道を開けてください!」

 大輝と颯麻の声の方を向けば、二人がいるのはリビングから張り出したサンルーム。
 ぽかぽかとした日差しの下、持ってきた消防車両のミニカーを走らせて、消防士さんごっこをしていた。

 白檀の香りと、佐岡家の陽だまりのような香りが混じっている。
 大輝は笑顔で、颯麻の相手をしてくれている。
 やっぱり彼は、お日さまみたいだ。
< 111 / 249 >

この作品をシェア

pagetop